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[コラム]


乾坤一筆
23日

プロ野球12球団の来季布陣が固まった。新監督がいれば、新コーチもいる。さらに球団を移り、新たに指導へあたる方も少なくない。

そんな中、来季でコーチ業通算36年目を迎えるロッテ・小谷正勝2軍投手コーチ(70)を訪ねた。ユニホーム組では球界最年長。幾多の好投手を育てた「名伯楽」として知られる。

小谷さんは1979年に大洋(現DeNA)の投手コーチに就いて以降、ブランクがあったのは巨人からロッテに移る間の2012年だけ。それ以外はユニホームを着続けている。まさに「継続は力」の典型だ。

指導法は選手との対話から始まる。「あんた、どういう選手になりたいの?」。決して、ああしろ、こうしろとはいわない。そして、むやみやたらといじらない。教えられる側が一番いい状態を、すべて頭にインプットしている。

「いつから、そんな投げ方になったんや。左肩が3センチ開いとるぞ」

つまり、現在進行形で指導している選手の"型"を、小谷さんはそれぞれの引き出しにしまっている。選手が一番分かりやすい言葉で話すから、教えられる側も納得するのだ。

その小谷さんが最も影響を受けた人物は大洋、ヤクルト時代に1軍投手コーチとして仕えた関根潤三さん(当時監督)だという。

「いいかい、オマエさん。コーチっていうのは『話せる鏡』にならなきゃ駄目なんだ。忘れちゃいけないよ」

小谷さんにとっては目からウロコだった。

「まさに"金言"やな。ワシの長いコーチ生活は、関根さんから教わったこの言葉に支えられとるようなもんや」

深い。マリアナ海溝よりも深い。小谷さんがわずかな狂いを数センチ単位で見逃さないのは『話せる鏡』になっているからに他ならない。

「球界に昔からこんな格言があるのを知っとるか。『利口はやらない バカじゃできない コーチ業』ってな。選手の人生がかかっとるんや。無責任なことはできん」

古希を迎えてもなお、他を圧倒する小谷さんの存在感。いつまでもユニホームを着続けていただきたい一人だ。(西村 浩一)


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